《労働ルールの豆知識》
見落としがちなテーマ、知っておきたいテーマなど取り上げてご紹介します。
【高年齢雇用継続給付とは】
雇用継続給付とは、高年齢の労働者の賃金額が低下したときや
育児・介護に伴い出勤することが困難で休業しなければならな
い労働者に対して、直接、雇用保険から支給される給付金のこ
とです。
ここでは、その給付金のひとつである『高年齢雇用継続基本給
付金』の説明をします。
《対象となる労働者の条件》
・年齢が60歳以上である
・雇用保険の被保険者期間が5年以上である
・60歳時点の賃金額と比較して75%未満の賃金額となった
・新賃金額35万9899円以下(平成30年8月~翌年7月)
《受給期間》
・労働者が65歳に達する日の属する月までのうち、初日から
末日まで被保険者である月の各月分を2ヵ月に一度支給
《具体的な支給額》
60歳時点の賃金額に対する新しい賃金の比率が、
・61%未満・・・・・・・・15%支給
・61%以上75%未満・・・15%~6%支給
・75%以上・・・・・・・・支給なし
となります。
※「15%」「15%~6%」とは、新賃金額に対する割合の
ことです。
《計算例》
60歳時点の賃金額45万円が、29万円に減額!
45万円→29万円・・・64.5%
この場合、
29万円に対して、約10.6%の高年齢雇用継続基本給付金が
支給されます。
29万円×10.6%=約3万円
厳密に言いますと、この支給金額の計算式は以下の通りです。
支給額=(-183÷280×新賃金額)+(137.25÷280×60歳時みなし賃金額)
上記例に当てはめますと、
支給額=(-183÷280×29万円)+(137.25÷280×45万円)
支給額=31,045円
ということになります。
《具体的な手続》
会社が、事業所を管轄するハローワークで手続を行ないます。
※「やむを得ない場合」には、労働者本人が手続できます。
高年齢雇用継続基本給付金を受給できる月の初日から4ヵ月以
内に「60歳到達時等賃金証明書」「受給資格確認票・(初回)
支給申請書」を提出します。
受給資格があることが確認されますと「受給資格確認通知書」
と次回分の「支給申請書」が会社へ送られてきます。
以後、2ヵ月に一度ハローワークで支給申請の手続をします。
2回目以降の手続日は、前の回に指定された申請期間内(その
月の初日から末日)となります。
例えば、1月から受給できるのであれば、1月2月分の初回分
を3月に、3月4月分の2回目を5月1日から31日までに手
続を行ないます。
各月分の支給が決定されますと「支給決定通知書」が送付され、
その支給決定日から1週間後に指定の従業員名義の口座へ入金
されます。
《注意点》
60歳以降に受給のチャンスがありますが、特別支給の老齢厚
生年金の受給資格のある方の場合は、支給調整(減額調整)が
あります。
賃金を受けている方が老齢厚生年金を受給する場合は、年金額
が調整され多少の減額があることは知られていますが、この高
年齢雇用継続基本給付金を受給する場合は、さらに支給調整さ
れますので注意してください。